(写真:AP/アフロ)

 米マイクロソフト(MS)と米メタの2024年10~12月期の決算は、いずれも増収増益で、市場予想を上回った。だが、決算発表日の米国株式市場の時間外取引で明暗が分かれた。マイクロソフトは株価を下げ、メタ株は上昇した。マイクロソフトは生成AI(人工知能)サービスを活用するクラウドコンピューティング事業の成長が鈍化した。メタは、売上高、純利益ともに過去最高を更新した。

MS、8Q連続増収増益

 マイクロソフトの2025会計年度第2四半期(24年10~12月期)決算は、売上高が前年同期比12%増の696億3200万ドル(約10兆7500億円)、純利益が10%増の241億800万ドル(約3兆7200億円)だった。

 8四半期連続の増収増益で、6四半期連続の2桁増収、7四半期連続の2桁増益を確保した。1株利益は3.23ドル(前年同期は2.93ドル)で、市場予想を上回った。だが、生成AIサービスを活用するクラウドコンピューティング事業は成長が鈍化した。決算発表日の時間外取引でマイクロソフトの株価は一時、終値から約4.5%下落した。

MS、AI事業の中核を担うクラウド成長減速

 マイクロソフトの売上高を事業部門別に見ると、全体の4割弱を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門が、前年同期比19%増の255億4400万ドル(約3兆9500億円)だった。AI事業の中核を担うクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は31%増と、2024年7~9月期の33%増から伸びが鈍化した。マイクロソフトCFO(最高財務責任者)のエイミー・フッド氏は、2025年1~3月期もこの増収率が31~32%になると述べた。この予測は投資家を失望させたと、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。

 一方、Azureの増収率の13ポイント分はAIサービスの需要によるものだった。この貢献度は前四半期で12ポイント、2024年4~6月期で8ポイント、2024年1~3月期で7ポイント、2023年10~12月期で6ポイントと、四半期ごとに増加している。AI事業からの収益は年換算ベースで130億ドル(約2兆100億円)を超えた。

企業向け業務ソフト15%増、コンピューティングは横ばい

 「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の4割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、前年同期比14%増の294億3700万ドル(約4兆5500億円)だった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Microsoft 365 Commercial」は15%の増収だった。同社は業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。

 パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は146億5100万ドル(約2兆2600億円)で、前年同期から横ばいだった。パソコンメーカー向けWindows及びデバイス部門の売上高は4%増だった。検索及びニュース広告は21%増加した。ビデオゲーム事業(コンテンツとサービス)の売上高は2%の増加だった。

MS、2025会計年度の設備投資800億ドル

 2024年10~12月期の ファイナンスリースを含めた総設備投資額は226億ドル(約3兆4900億円)と、前四半期から13%増えた。

 マイクロソフトは以前、2025年6月に終了する2025会計年度に設備投資として800億ドル(約12兆3600億円)を費やすと発表していた。その大部分はデータセンターなどのAIインフラに充てる。2024会計年度は557億ドルを投じていた。