尹錫悦大統領の弾劾を求めてデモ行進する人々(12月11日、写真:ロイター/アフロ)

朴槿恵大統領の時とは何かが違う弾劾デモ

 12月3日の夜、韓国の尹錫悦大統領による戒厳令のあまりに唐突で急な宣布には全国民が驚いた。

 このニュースはすでに日本でも報道されてご存知のことだろう。

 戒厳令が宣布されたけれど、6時間後には戒厳令解除という言葉を聞いたとき、誰もが「これで尹錫悦大統領は終わりだ」と思った。

 終わりには違いないのだが、果たして弾劾されて終わるのか、韓国では2通りの見方がある。

 弾劾させたい勢力と、弾劾させたくない勢力があり、その力の具合で弾劾かどうかが決まるのだと思う。

 さて、年末この寒い最中、人々はまた集会に出て来始めた。

 弾劾派は国会議事堂のある汝矣島へ、弾劾反対派は光化門へとそれぞれ場所は違うがとにかく集会へ参加する人が増えている。

 朴槿恵元大統領のときは、主に弾劾に人が集中していた。

 弾劾反対派は主に高齢者で、老体にむち打ち弾劾に反対する集会を開いていたが、圧倒的多数が弾劾派に属していた。

 そのときは、何というかこの弾劾デモに参加することが民主的な国民としてすべきことのように感じられた。

 朴槿恵元大統領に関するあらゆるデマを信じ、そんな人は大統領にしておけない、早く退かせるべきだと思った。

 だが、いざ弾劾させてみて、文在寅大統領の時代になると、「あの弾劾は果たしてよかったのか?」という疑問が浮かんだ。

 文在寅大統領はポピュリズム政治家で圧倒的な人気を誇っていた。しかし、政治は人気のある政策だけでいいのだろうか。

 それに、朴槿恵大統領は弾劾されるほど悪いことをしたのかという疑問すら多くの人に浮かんだのも事実だ。