2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」が12月15日に最終回を迎えます。ドラマに関連する史実についてJBpress autographで連載してきた人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2024年6月10日)※内容は掲載当時のものです。
大河ドラマ「光る君へ」では、越前守に任官した紫式部の父・岸谷五朗が演じる藤原為時の出番が増え、注目が深まっている。今回は、一条朝を代表する文人の一人に数えられ(『続本朝往生伝』)、「凡位を越えたる者(非凡な才能の持ち主)」と称された(『江談抄』五)、藤原為時の生涯をたどってみたい。
文=鷹橋 忍
菅原道真の孫に師事
藤原為時の生年は定かでないが、天暦3年(949)ころ生まれたとされる(ここでは為時の生年を天暦3年として、年齢を算出する)。
道長の父・段田安則が演じた藤原兼家より20歳年下となる。
為時の父は周防守、豊前守を歴任した藤原雅正。母は、歌人としても知られる右大臣藤原定方の娘だ。
為時は15~16歳の頃には大学に入り、菅原道真の孫で、漢詩人の菅原文時に師事したという(今井源衛『人物叢書 紫式部』)。
紫式部を産んだ最初の妻は早世
安和元年(968)11月、為時が数えで20歳の時、播磨権少掾に任じられたという記事が、平安時代後期に編纂された法令集『類聚符宣抄』第八(『国史大系』第二十七巻所収)にみられる。
また、安和元年前後、為時は最初の妻である右馬頭や常陸介を
為信の娘は、紫式部の姉、紫式部、高杉真宙が演じる弟(兄とする説あり)の藤原惟規を産んだが、早くに亡くなってしまった。
その後、為時は再婚し、常陸介となり四位に叙される藤原惟通、三井寺僧となる定暹などをもうけている。