日本の熊野古道。韓国の韓国版松巡礼道も熊野古道のように人気になるか(写真:中尾由里子/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 日本政府が2022年10月11日から観光客のノービザ入国を認める決定をしたことから、日韓間の人の往来が激増することが予測されている。

 韓国経済新聞の記事によると、同年9月1日から22日までの海外旅行予約件数の1日平均は前月より173.7%増え、日本旅行に関する問い合わせが1120%も増加したそうだ。

 そんな中、韓国メディアが面白いニュースを報道した。ニュースの中身は、韓国国土の東西を横断させ、山林生態圏はもちろん、歴史・文化圏を一つにつなぐ「東西トレイル」の推進が本格化するというものだった。

 本題に入る前に少し余談をしよう。

 江戸時代の旅人は1日におよそ8里から10里強歩いていたそうだ。これをキロメートルに直すと、約32から40キロメートルとなる。

 歩行速度を時速4キロメートルと仮定した場合、1日の歩行時間は約8時間から10時間だ。これは成人男性の場合だから、女性はもっと数字が落ちるし、運動不足の現代人はさらに落ちるだろう。

 和歌山県と三重県には世界遺産の熊野古道がある。三重県の伊勢神宮から熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へ通じる総延長約170キロメートルの参詣道だ。一般的に5日から6日かけて踏破するそうだ。

 紀伊半島すべての熊野古道を合わせると、1000キロメートルにもなると言われている。東海道53次(東京から大阪まで)が約500キロメートルだからそれの倍だ。

 和歌山県を訪れる外国人、とりわけ欧米諸国の若い人の中には熊野古道を歩いて横断する者が少なくない。筆者は数年前に高野山の宿坊に宿泊したことがあるが、この時の朝のお勤めで住職からそう聞いた。

 熊野古道を訪れた日本人の中に、何人が歩いてこの古い道を横断するだろう。

 筆者は住職の話を聞いて、自身も外国人を見習わなければならないと感じた。だが、数年経ったいまでもそれは実行できていない。興味がないわけではないのだが、重い腰が上がらないのが現実だ。

 冒頭にご紹介した「東西トレイル」に話を戻そう。