2002年9月17日に実施された日朝首脳会談。小泉純一郎元首相と金正日氏との間で行われた(写真:KCNA/AP/アフロ)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

「賊反荷杖(チョクパナジャン)」とは、「泥棒が尻をたたく」という意味で、日本語で言えば「逆ギレ」に相当する言葉だ。

 最近、北朝鮮は日朝平壌宣言20周年を迎えて、「日本は平壌宣言を白紙に戻した責任を負え」と猛非難し、その帰結に関心が高まっている。北朝鮮は、なぜ急に、日本に対する強い非難声明を出したのだろうか。日朝平壌宣言破棄の責任を日本に転嫁をする意図は何だろうか。日朝平壌宣言に対する北朝鮮の逆ギレについて考えてみよう。

 北朝鮮外務省は9月16日、以下の宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使名義の談話で、日本を猛烈に批判した。

「日本は日朝関係の性格と本質を否定し、平壌宣言は拉致、核、ミサイル問題解決のためであると歪曲解釈して、彼らの不純な政治的目的の実現に悪用した。我が国(北朝鮮)の莫大な人的、物的、精神的財産を略奪し、朝鮮民族に前代未聞の不幸と苦痛をあびせかけてからも、反省どころか何ら罪の意識さえ感じず、むしろ『被害者』であるかのように振る舞う日本の態度こそ、偽善の極致に違いない」

 さらに、「日本政府は、日朝平壌宣言に対する背信的な行為の責任から、絶対に脱することはできない。日本で起こる極めて理不尽で無分別な反共和国、反総連工作の一つひとつについて、あますことなく記憶し、必ず清算する」と、警告した。

 日本に対する北朝鮮の不満は、二つの要点に整理することができる。一つは日本の過去のことに関する補償問題、もう一つは朝鮮総連に対する弾圧問題だ。

 今回、北朝鮮外務省の対日非難声明で、最も注目すべきポイントは、日本政府の過去の行いに関する補償問題と言えよう。

 1965年6月22日、日本と韓国は、東京で日韓協定を結び、修交した。この時、根本的な問題として議論されたのが日韓請求権協定問題だ。

 当時、日本政府は韓国政府を朝鮮半島唯一の合法的な政府と認め、日韓請求権問題と経済支援を約束した。韓国政府も3億ドル規模の請求権と2億ドル規模の経済支援を受ける代償として、日本の支配による被害に対するすべての賠償を放棄することを約束した。ただし、後にこれに反対する韓国国民の激しい反発に直面するのだが。

 いずれにせよ、北朝鮮が日本に最も不満を持っている部分がこの点である。韓国政府だけを朝鮮半島唯一の合法的な政府と認め、過去の行為に対する補償請求権を自分たちにはただの一文も与えず、韓国にだけ与えたことに対する怒りである。

 これを解決するために、日本と北朝鮮の間で発表したのが日朝平壌宣言だ。