パタヤやプーケットなどタイのビーチにはロシア人観光客があふれていたが、いまやほとんど見かけなくなった

 ロシアによるウクライナ侵攻から半年が過ぎようとしている。

 日本国内のニュース報道でもウクライナがトップニュースとなる日はめっきり少なくなり、現地の戦況もどちらがどれほど優勢なのか判断しようのない報道ばかりである。

 一方、ロシア国内の状況をみるとモスクワのビジネス関係者と話している限りでは戦争をやっている国とは思えないリラックスぶりである。

 さすがに「非友好国」へ海外バカンスに出かける人は減っているが、ロシア国内、あるいはトルコ、中東諸国でくつろぐ様子を、わざわざフェイスブックにアップする(ロシア国内ではブロックされている)輩も多い。

 こうした中、8月14日のロシアの独立系経済ニュース「The Bell」に気になるニュースが報じられた。

 そのタイトルは「ロシアのスタートアップは米国内での差別といかにして闘うのか?」である。

 ロシアの軍事侵攻に対し、欧米諸国および日本などがロシア政府関係者、国営企業、ロシア政府に近いとされる経済人やその企業を対象とする経済制裁を科している。

 対象となっている民間企業はロシアでも大手企業であり、中小企業の場合は軍事関係の企業である。

 ほとんどの民間企業は経済制裁の対象外であったと言っていい。

 一方、ロシア国内の有望なスタートアップ企業は2014年3月のクリミア併合後あたりから、本社を欧州諸国やイスラエル、湾岸諸国、シンガポールあるいは米国へと移転する動きがじわじわと始まっていた。

 そして米国へ移転する企業の多くは、米国東部デラウェア州に会社を設立・登記する。