中国人民解放軍による台湾近海での軍事演習を報じる中国の新聞(2022年8月8日、写真:ロイター/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問ののち、中国人民解放軍は8月4日正午から7日正午まで、台湾をぐるりと囲む6つの区域で空前の規模の軍事演習を行った。

 しかも、初日のミサイル演習で、日本のEEZ(排他的経済水域)内に5発もミサイルを撃ち込んだ。これは日本に対する戦争挑発行為として座視できまい。

 さらには中国側は8月8日以降も、台湾周辺の海域で「実戦化連合演訓」を行うという。演習ではなく「演訓」という表現を使うのは、「演習の常態化」を意味するという。ここに、米空母レーガン打撃群がやってくる。台湾海峡を通過するかもしれない。台湾海峡の通過は国際法になんら違反していない。

 だが、解放軍は、目の前を米空母が通過するのを黙ってみていることができるのか。これはすでに第4次台湾海峡危機といっていいのではないか。

 この状況についてどう評価すべきかを考えてみたい。

米国、日本も演習のターゲット

 8月4日から始まった台湾周辺の演習は、事実上の台湾封鎖演習であり、ペロシ訪台に対する中国の一種の報復であった。これだけの規模の演習をすぐさま準備、計画するのは困難であり、おそらくは実際の台湾武力侵攻作戦のプランの1つを模擬実施したのだろう、と言われている。