200年の歴史をもつブルックス・ブラザーズが経営破綻した(写真は東京の店舗、7月9日撮影、写真:つのだよしお/アフロ)

 米国で200年以上にわたってブランドを維持し続けてきたアパレルの老舗、ブルックス・ブラザーズが今月8日、経営破綻した(日本法人は継続)。

 1818年の創業以来、ほとんどの大統領が同社のスーツに袖を通してきたばかりか、日本でも同社のボタンダウン・シャツを着た経験のある方は多いはずだ。

 ちなみに、リンカーン大統領が暗殺された時に着ていた服も同社製のフロックコートだった。

 同社破綻の主因はもちろん新型コロナウイルスによる売上減である。ただ閉店に追い込まれた原因を探っていくと、コロナ禍だけでないことが分かってきている。

 破産申請をする前に、同社は米国内にある約250店舗のうち51店を閉店する予定でいた。

 2世紀以上にわたってビジネスを展開してきた経験から、様々な時代で生き抜くノウハウを蓄積してきたはずだが、いったい何があったのか。

 近年、ブルックスの服は「フォーマルで旧式な香りがする」と言われていた。

 米コンサルティング企業グローバル・データ社のニール・サウンダーズ氏はこう分析する。

「ブルックス・ブラザーズは明らかに世の中のトレンドの変化や移りゆく時代の流れに適応しづらくなっていました」

「特に若い世代はもっとスタイリッシュでカジュアルな服を好むため、同社の服は視野に入っていなかった」