不当解雇された時、労働組合はどれだけ支援してくれるだろうか(写真は本文の内容と直接関係ありません)

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 新型コロナウイルスの影響で雇用環境が悪化しています。6月末で解雇や雇い止めをするには1カ月前の5月末が期限になります。すでに、休業にともなう失職が増えていますが、今後は業績悪化にともなう企業のリストラが急拡大する懸念があります。こうした事態に労働者はどのように備えどのように対処すべきなのでしょうか。いくつかの手段について考察してみます。

会社に残る道か、新たな勤務先探しか

 会社から退職を迫られるようになると、こちらからなんらかの手段を打たないと時間の経過とともに、どんどん苦しい立場に追い込まれ、精神的にも困憊してしまいます。一つのシミュレーションを元に説明していきましょう。

 あなたは年齢は45歳、大学を卒業後にA社に入社し、営業畑ひと筋に23年が経過したとしましょう。結婚し、子どもも2人。ローンを組んで郊外に自宅も購入しています。通勤は会社まで片道1時間半かかりますが、充実した生活を送っています。

 そんな時、上司から急に呼び出しがありました。呼び出された部屋に入ると、上司と人事部の課長が座っています。上司は突然、「今日で辞めてもらう。書類や荷物はあとで宅急便で送るから心配しないでくれたまえ!」とひと言。人事部の課長も、「今日で解雇になりますので来月の給料ありません」。あなたは必死に掛け合いましたが、けんもほろろで取り合ってくれません。パソコンは押収されて、ルームキーも取り上げられました。

 あなたの来月以降の給料の見込みは立たなくなりました。早急に対策をしなければなりません。奥さんは専業主婦なので収入がありません。主な選択肢は2つです。解雇措置の不当性を訴えて会社に残る道を模索するか、こんな会社にさっさと見切りをつけて、厳しい状況を覚悟しながら次なる働き口を探すか、です。

 あなたは何とかして会社に残る道を探すことにしました。だったらまずどんな行動に出るべきなのか。ここからが本題です。