(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 今年(2020年)3月、ネット上で話題となっていた漫画について「ステルスマーケティングが行われているのでは?」という疑惑が持ち上がりました。この疑惑の真偽については今回触れませんが、中立な第三者を装って商品やサービスを宣伝する、いわゆるステルスマーケティング行為は古今絶えません。

 またネットショッピングの拡大に伴い、ECサイトの商品コメントに大量の口コミを投入する手法も増えており、欧米のように日本も法規制化すべきという提言も出されています。

 そこで今回は、過去の事例を振り返りつつ、広告業界関係者にステルスマーケティングに対する認識や価値観、手法などについて聞いてみました。あわせて今後求められる対策についても考えてみたいと思います。

節目となったペニーオークション詐欺事件

 まず「ステルスマーケティング」とは何でしょうか。定義としては「広告主や宣伝業務の委託を受けた者が、中立な第三者を装い商品やサービスを宣伝する行為」を指します。

 消費者がなにか商品の購入を検討するとき、第三者がその商品をどのように評価しているかは大きな参考材料になります。第三者の肯定的な評価によって消費者の意識を購入へと誘導させるため、「商品の宣伝行為」を「自発的な第三者による口コミ」に見せかけることがステルスマーケティングとされます。