(後藤 健生:サッカージャーナリスト)

 東京オリンピック・パラリンピック。2週間前のこのコラム(「東京五輪、日本に残されたたった1つの選択肢とは」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59789)では「誰も延期を言い出せないまま予定通りの2020年の夏開催になってしまうかも」などと呑気なことを書いてしまったのだが、その後、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は急激に拡大。延期問題も急展開し、東京大会は2021年の7月に開催されることが決まった。

 前回のコラムの通り「2020年秋までの延期がベスト」だとは思うが、秋開催はIOCとアメリカのテレビ局の都合によってやはり不可能なのだろう。とすれば、「1年延期」は現段階では最も合理的な結論だろう。状況によっては2021年夏の開催すら難しくなるかもしれないが、そうなったら、その時点で「中止」を決断するしかないだろう(「再延期」はあまりにもリスキーだ)。

「延期決定が遅すぎた」という批判もあるが、つい3週間ほど前までは一般的に「5月に決めればいい」といった雰囲気で、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長も「まだ決定するには早すぎる」などと言っていた。それを考えれば、大会開幕4か月前という段階で安倍晋三首相が政治的決断を下したことは評価していい。

 しかも、「日本側からの提案」という形がとれたことによって、IOCと費用分担の交渉をするときに主導権を握ることもできるだろう。

「延期」はきわめて珍しい例外

 IOCにとって「延期というのは難しい決断だった」とも言われている。