行政による人事介入で司法の独立性が妨げられたら、法治国家とはもはや呼べなくなる

 今回は最初に結論を記しておきます。

 稲田伸夫検事総長(1956年8月14日生)は、状況により、65歳の検事総長正規定年まで在職し続ける選択肢を考慮すべきと思います。

 明らかに制度を捻じ曲げた、おかしな「東京高検検事長定年延長の閣議決定に対抗するには、良い意味での「法令の遵守」を徹底し、根拠不明の「慣例」は、これを「検察一体の原則」から相対化して、ことに当たるのが正解と思います。

 加えて先週後半には当該案件を法務大臣が「口頭で決済」した、という文書主義の日本の官僚機構において、前代未聞、明らかに進退に関わる、とてつもない乱脈行政の実態が明らかになってしまいました。

 一連の問題を具体的に考えてみましょう。

しどろもどろの国会答弁

 閣僚や内閣総理大臣であっても逮捕、刑事訴追できる「検察」。

 その権力と正義は、その時々の政権や政治的思惑から超然として、常に法の下に公正、平等であるべき。

 こうした原則的な考え方を「検察一体の原則」と呼ぶようです。

 元検察官である山尾志桜里衆議院議員の在職時代に受けた研修・教育のたとえは、非常に分かりやすかった。

 検察というのは、金太郎飴のような組織であるべきで、またそうでなければならないというのです。

 どういうことか?