台風19号による甚大な被害を受けた長野県長野市(写真:高橋智裕/アフロ)

 IOC(世界オリンピック委員会)から、来年の五輪、マラソンは札幌で行うとの「決定」が世界に発表されています。

 確かに猛暑が懸念されます。それには疑問の挟みようもありません。ただ、気になることもあります。つまり、気温だけが理由であれば、一部報道されるように「深夜開催」など、別の選択肢もあり得るはずです。

 しかし、そういう話は何もなく、いきなり「東京から800キロ離れ、メインランド・ジャパンではなくHokkaido islandのSapporoに変更決定」とグローバルにアナウンスされてしまいました。

 明らかに飛躍があり、またIOCの決意は固い、といった消息も聞こえてきます。いったいこれは、なぜなのか?

 憮然とした関係者から出た北方領土その他の論外なコメントについてはここでは触れません。

 日本国内では「寝耳に水」とか「不本意」ばかりを強調する様子ですが、「すでに10月初旬から水面下の折衝が行われていたのでは?」との観測も流れています。

 実際にIOCがどのような議論を経て、このような「強い意志」決定を下したか、その詳細は分かりません。しかし背景にはいくつかの周知の事実があります。

 欧州で耳にした、関連する議論を整理してみます。