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 2019年8月、厚生労働省は「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」を発表しました。少子高齢化が進んで、将来の年金支給額を大きく減らす可能性が高まった場合などはどうするか。年金支給額の大幅な減額や、支給年齢や保険料の引き上げなどを考える必要が出てきます。このような年金制度の大幅な見直しが必要かどうか、厚生労働省は5年に一度チェックしています。これが「財政検証」です。

 この発表では、予想される経済状況やモデルを使って将来の公的年金の見通しを示しています。不安をかき立てるような意見も散見されますが、実際のところはどうなのでしょうか。そもそも年金とは、というようなことも含めて一問一答形式でまとめました。

Q:「公的年金」とは何を指す?

 公的年金に含まれる年金は2つあります。1つめは「国民年金」。日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡によって「基礎年金」を受けることができます。年金を受ける人(被保険者)には、第1号(農業などに従事する人、自営業、学生、フリーター、無職など)、第2号(厚生年金保険の適用を受けている会社員など)、第3号(第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人)の3種類があり、それぞれ保険料の納め方が違ってきます。

 2つめが、厚生年金保険。主に企業勤務者が対象で、国民年金による基礎年金に加えて、厚生年金を受けることができます。かつては、公務員や私立学校教職員などを対象にした「共済年金」がありましたが、2015年10月から厚生年金保険に一元化されています。

Q:「2階建て」「3階建て」の意味は?

 公的年金のうち、国民年金が基礎年金となって1階、それに上乗せされる厚生年金を2階ととらえて、「公的年金は2階建て」と表現されます。

 公的年金に対して、「私的年金」という考え方(あまり使われませんが)もあります。個人や企業が保険料を出し、自分たちで運用してその成果を年金原資にする仕組みです。その種類は大きく2つ。