2017年10月4日、米グーグルの新製品発表会で「Google Home Mini」について説明する同社デザイナーのイザベル・オルソン(写真:ロイター/アフロ)

 シンガポールに本部を置く市場調査会社カナリスによると、今年(2019年)4~6月に世界で出荷されたAIスピーカー(ディスプレー付き端末を含む)の台数は2610万台で、1年前から55.4%増えた。

中国市場の規模は米国の2倍以上

 メーカー別出荷台数は、米アマゾン・ドット・コムが660万台で引き続き首位。2位は中国検索大手バイドゥ(百度)の450万台。3位は米グーグルの430万台だった。この後、中国電子商取引大手アリババ・グループ(阿里巴巴集団)の410万台と中国スマートフォン大手シャオミ(小米科技)の280万台が続いた。

 グーグルはこれまで2位の座を維持してきた。しかし、4~6月はバイドゥの出荷台数が1年前の38倍と驚異的に伸び、グーグルを追い抜いた。バイドゥはかつて「Raven H」という高価格帯の製品を製造・販売していたが、これをやめて249元(39米ドル)の「Xiaodu」を発売。低価格帯端末市場に参入した。これが奏功し、1~3月にアリババとシャオミを抜いて3位に浮上していた。

 こうしたバイドゥの成功は、中国という巨大な市場によってもたらされたとカナリスは指摘している。前述したとおり今年4~6月におけるAIスピーカーの世界出荷台数は2610万台。同じ期間の中国における台数は1260万台。中国は世界の48%と、ほぼ5割を占め、米国(610万台)の2倍以上となった。

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 ただし、バイドゥの勢いはグーグルの事業に影響しないとカナリスは分析している。バイドゥの端末は中国国内だけで販売されている。一方でグーグルは、まだ中国市場に進出していないからだ。

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アマゾンとグーグル、海外販売の比率が拡大

 アマゾンの今年4~6月の出荷台数は1年前から61.1%増となり、好調だった。グーグルは同19.8%減少したが、1~3月からは約25%増加した。  興味深いのは、アマゾンとグーグルがともに海外販売の比率を増やしている点だ。アマゾンの米国外販売の比率は1年前の32%から50%に拡大した。グーグルは42%から55%に拡大した。

評価テストではグーグルが1位

 なお、米調査会社のループ・ベンチャーズが先ごろ公表したレポートによると、AIアシスタントの評価テストで最も正答率が高かったのはグーグルの「Google Assistant」だった。

 これに続いたのは米アップルの「Siri」とアマゾンの「Alexa」。順位は昨年行った前回テストと同じだが、いずれも改善が見られたという。

 今年のテストでは、Google Assistantが93%の正答率で、全800問の内容を正しく理解した。Siriは同83%で、2つの質問を正しく理解できなかった。Alexaは同80%で、正しく理解できなかった質問は1つだった。