ゴーヤーの苦味生合成経路、「金平糖解析」で解明へ

類まれなる“苦い作物”をめぐる歴史と科学(後篇)
2019.7.19(金) 漆原 次郎 follow フォロー help フォロー中
生物学化学農林水産業芸術文化
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ウリ科の一年草、ゴーヤー。この植物の苦味成分のつくられ方の解明が進んでいる。
久城哲夫(くしろ・てつお)氏。明治大学農学部農芸化学科准教授。博士(薬学)。東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻修士課程を修了。東京大学大学院薬学系研究科博士課程を修了。日本学術振興会特別研究員、米国スクリプス研究所博士研究員、理化学研究所研究員、東京大学大学院薬学系研究科助教を経て、2010年より現職。専門分野は、天然物化学、ケミカルバイオロジーなど。炭素原子を30個持つ炭化水素「トリテルペン」の生合成酵素などが研究対象。
鈴木秀幸(すずき・ひでゆき)氏。かずさDNA研究所特別客員研究員。薬学博士。千葉大学大学院薬学研究科博士後期課程を修了。北里大学薬学部助手などを経て、2005年かずさDNA研究所へ。その後、同研究所で主任研究員、主席研究員、機器分析グループ長、バイオ研究開発部グループ長、ゲノム事業推進部グループ長などを歴任。千葉大学大学院薬学研究院客員教授などを兼任している。専門分野は植物代謝工学、植物分子生物学など。網羅的な遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)や網羅的な代謝物解析(メタボローム解析)などによるオミクス解析の手法などを研究。
ゴーヤーの苦味成分であるククルビタシン類が生合成される経路。緑字は酵素名。ククルビタジエノール合成酵素(McCBS)のような原子を結合させて環状にする酵素は、環化酵素とよばれる。水酸基(-OH)が付加して修飾されるなどして生合成が進む。ククルビタシン類の化合物は、炭素原子数30のトリテルペンに糖や水酸基が結合しており、こうした化合物はトリテルペノイドサポニンともよばれる。ゴーヤグリコサイド-Aは、ウリ科の中でもゴーヤーにしか含まれていない。 (出所:久城哲夫氏提供資料をもとに筆者作成)
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ゴーヤーとその葉。最終的に苦味をもたらす成分は、葉から細い茎を経由して果実まで移動してきているようだ。
「金平糖解析」による遺伝子選抜の結果イメージ。2万7127の遺伝子から19遺伝子が選抜された。「金平糖」は、各遺伝子の相関ネットワークが金平糖のように形づくられることから。大阪府立大学の尾形善之氏との共同研究でトポロジーという幾何学の分野を応用し、解析自動化を実現させた。ソフトウェア名は「Confeito GUI plus」。データ解析は「HiSeq1000」などの装置が行う。ゴーヤーの事例以外に、「味覚と成分データをひもづけられるため食品メーカーに興味を持っていただくなどしています」と鈴木氏。 (画像・写真提供:鈴木秀幸氏)
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