ただでさえ千賀ノ浦親方との関係がギクシャクしている貴景勝なのに・・・(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 大相撲名古屋場所で連日のように熱戦が繰り広げられている。ただ、いざフタを開けてみると初日から10日の4日目まで上位陣において土つかずの4連勝は休場明けの白鵬、そして鶴竜の両横綱のみ。若手のホープとして期待されている先場所優勝の前頭筆頭・朝乃山は、その上位陣との連戦で黒星を重ね苦しんでいる。

 いくら勢いがある若手力士とはいっても立ちはだかる巨大な〝壁〟を打ち崩すことは、やはり容易ではないと感じざるを得ない。まだまだ序盤とはいえ、新しい波や変革を待ち望む好角家の中には、名古屋場所の取組を見ながら少々空虚感が漂っている人もいるのではないだろうか。

大関昇進から2場所で陥落

 今場所の戦いにどこか物足りなさを感じる一因を作り出してしまった力士が〝土俵外〟にもう1人いる。貴景勝だ。

 角番大関として名古屋場所を迎えるはずだったが、先場所に内側側副靱帯損傷を患った右ひざの状態が万全ではなく稽古不足も明らかなことから休場している。途中出場の意思もなく、これで大関の座から陥落することになった。新大関となった場所からたったの2場所で陥落となるのは2000年の武双山以来、19年ぶり2人目の不名誉記録。関脇となる来場所に出場し、10勝以上を挙げれば大関復帰は可能になる。

 だが、貴景勝は次世代の日本人横綱候補とも目され始めていた人気急上昇中の若手力士だ。番付最高峰に近づく新大関の称号を手にしながら、こうもあっさりと手放してしまったのは、いくらコンディション不良が理由とはいえどうにもシラけてしまう。