重んじるのは“個”か“和”か。日本と中国では大きく違う(写真はイメージ)

〈「己を殺す」ということは、ひとつの美徳と考えられている。〉

 これは、日本を代表する臨床心理学者、河合隼雄氏の著書『こころの処方箋』(新潮社)の「己を殺して他人を殺す」という章にある一文だ。

 日本人の、他人になるべく迷惑をかけまいとする、そして“和”を大切にする心につながっていると思われる。自分ががまんすることで他人に迷惑をかけなくて済むならば・・・、和を乱さずに済むならば・・・、そう思って生きているのが日本人でないだろうか。

 一方、中国では、“和”を乱さないために己を殺すという考えは、理解されにくい。一般的にはむしろその逆で、“和”より“個”を重んじる傾向にある。

自分の意見より“和”を重視

 そんな日中の違いは、とりわけ集団で何か1つのことを実施することになったとき、顕著に表れる。

 例えば、グループチャット。筆者が住む上海では、中国版チャットアプリ「微信(ウィーチャット)」が広く利用されている。日本でのLINE同様に、必要に応じてグループチャットが作られ、1つのグループチャットが数十人、数百人で構成されていることも珍しくない。筆者も、上海に住む同郷人、同じ習い事の生徒、親しい友人たちのほか、子どもが通うスポーツクラブ、学校関係など、さまざまなカテゴリーのグループチャットに参加している。

 このグループチャット内の討議の様子が、参加メンバーが日本人か中国人かで大きく違う。