保護主義は「自動車業界にとって大惨事」 ゴーン氏、米政策に懸念

ルノー・日産アライアンスのカルロス・ゴーン最高経営責任者(2017年3月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

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 日産とルノーの関係が微妙な状況となっている。日産は実質的にルノーの支配下にあったが、表面的には2社連合という形になっており、一定の独立性が担保されていた。だがフランスでマクロン政権が誕生したことから、風向きが変わってきた。

ルノーは日本側の事情に配慮してきた

 現在、仏ルノーは日産の株式を43.4%保有しており、筆頭株主となっている。日産は1999年に経営危機に陥り、ルノーに救済される形で同社のグループ入りした。ルノーの傘下に入った日産のトップには、当時ルノー副社長だったカルロス・ゴーン氏(現ルノー会長兼日産会長)が就任し、ゴーン氏によるトップダウン経営で日産は復活した。

 ルノーの出資比率は50%以下だが、ルノーからゴーン氏が派遣され、ゴーン氏によるトップダウン経営が続いたことから、グローバル市場では日産は完全にルノーの支配下にあるとみなされてきた。だが、形式的なルノーと日産の関係は実態とは少し異なる。

 ルノーは日産の筆頭株主だが、日産もルノーの株式を15%保有するなど相互出資となっており、表面的には日産の独立性がある程度、担保されるようになっている。もっとも、日産が保有するルノーの株式には議決権の制約があり、相互出資は建前に過ぎないとの見方もできるが、日本側の心情に配慮したスキームだったことは間違ない。

 ルノーと日産は、両社の関係について「ルノー・日産アライアンス」と称しており、報道などではルノー日産連合、あるいは2社連合と呼ばれることが多い。2016年10月には、日産がデータ不正問題で窮地に陥った三菱自動車を救済したことから、現在では「ルノー・日産・三菱アライアンス」と呼ばれている。