米国防長官、横須賀基地で海自護衛艦「いずも」視察

海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」(2016年12月6日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 2017年末から、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」級を、F-35B戦闘機を搭載可能な「空母」として改修する話が相次いで報道されている。2018年3月2日の参議院予算委員会では、小野寺五典防衛大臣が「いずも」でF-35Bの運用が可能かどうかを調査していることを明らかにした。

 しかし単刀直入に言って、いずもの空母化や空母建造は自衛隊を弱体化しかねない愚策である。以下ではその4つの理由について論じよう。

(1)高額な改修費がかかる

 第1の問題点は、高額な改修費である。この点に関して、「Defense News」誌で日本関連記事を数多く執筆していたカイル・ミゾカミ氏が、技術誌「Popular Mechanics」で具体的な論考を行っている。彼の主張は以下のとおりである。

 いずも空母化を日本政府が決断した場合、(1)F-35Bの離着陸時の排気ガスの高熱に耐えうるための甲板の耐熱コーティング、(2)艦首の邪魔な近接防御火器システムの撤去、(3)F-35特有の部品管理システムALISの艦船版の組み込み、(4)1隻につき艦載機たるF-35B12機の導入などが必要になる。これらの改造費として、船舶の改修費が5億ドル、F-35Bが14億ドルかかる。

 要するに「いずも」「かが」を空母化すれば、約38億ドル(約4000億円)の予算がかかるのである。これは日本の年間防衛費の7.7%に匹敵するコストである。装備品の調達コストで見れば14.6%を占めることになる。しかも、補修パーツ対空ミサイル・誘導爆弾・航空燃料等の積載増加により、艦内のスペースが食われることになり格納能力も低下すると指摘している。