日銀の当座預金には巨額の資金が積み上がっている

 日銀の黒田東彦総裁の続投が固まった。2期目の黒田氏は、量的緩和策について従来路線を堅持しつつ、徐々に出口戦略に舵を切るというのが一般的な見方だが、岩田規久男副総裁の後任には、リフレ(通貨再膨張)論者である若田部昌澄氏が就任する。若田部氏は現実路線を選択する可能性が高いが、場合よっては、出口戦略が後退し大規模緩和が継続となる可能性もある。

 このところ量的緩和策の弊害について指摘する声が高まっており、一部の識者は、当座預金に積み上がった巨額のマネーが予想外のインフレを引き起こすリスクについて懸念している。

 このまま緩和策が継続された場合、当座預金の円資金はどうなるのだろうか。

当座預金には368兆円もの資金が放置されている

 一昨年末、日本の政府債務に関してちょっとした論争があった。当初は過大な政府債務の是非というニュアンスだったが、議論の中身は次第に日銀当座預金の位置付けに変わっていった。論争そのものは、少々テクニカルなものだったが、うずたかく積み上がった日銀当座預金が市場にどのような影響を与えるのかというのは、多くの人にとって関心の高いテーマだろう。