トヨタ、多目的自動運転EVを発表 物販やライドシェアも

米ラスベガスで開かれた家電見本市CESで「イー・パレット」を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長(2018年1月8日撮影)。(c)AFP PHOTO / MANDEL NGAN〔AFPBB News

 トヨタは2017年末、2025年頃までにすべての車種を電動車にするという次世代戦略を明らかにした。電動車の中には、HV(ハイブリッド車)FCV(燃料電池車)など、エンジンのみで駆動する車種以外のすべてが含まれている。いわゆる全方位戦略と呼ばれるトヨタの従来方針を踏襲したように思えるが、中身をよく見ると、EV(電気自動車)化を強く意識したものであることが分かる。今回の発表は、トヨタにおける事実上のEVシフト宣言と捉えてもよいと筆者は考えている。

FCVの可能性を残しつつPHVを主力に

 トヨタ自動車は2017年12月18日、2030年に向けた電動化ロードマップを発表した。2030年における電動車のグローバル販売台数については550万台を見込んでおり、このうちゼロエミッション車(二酸化炭素などの排気ガスを排出しない自動車)に該当するEVとFCVは100万台としている。

 これによって同社が販売する車種は、すべて電動専用車もしくは電動グレード設定車となり、エンジン車しかない車種は消滅する(車種がなくなるだけで、エンジン車がなくなるわけではない)。550万台という数字はあくまで絶対値であり、全体の販売台数に対する比率は分からない。同社の2017年における販売台数は約1000万台なので、現時点を基準にすれば半数以上が電動車ということになる。

 ここでいうところの電動車には、HV、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV、EVの4種類が含まれる。これまでトヨタは、FCVを次世代車の主役と位置付け、1兆円を超える開発資金を投じてきた。

 水素社会は日本の国策にもなっているが、現実問題として、全国各地に水素ステーションを建設するのは並大抵のことではない。海外の自動車メーカー各社も、当初はFCVとEVの両睨みで開発を進めてきたが、ほとんどがFCVには見切りを付け、EVシフトを進めている状況だ。

 こうした状況を受けてトヨタは、全方位戦略というスタンスを打ち出し、あらゆる技術に対応できるよう体制を整えるとしてきたが、総花的な戦略はどれも中途半端に終わってしまうリスクをはらむ。