ノーベル平和賞、反核団体「ICAN」に

スイス・ジュネーブで、ノーベル平和賞の受賞が発表され、団体のロゴが入った横断幕を見せる反核団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のビアトリス・フィン事務局長(右)ら(2017年10月6日撮影)。(c)AFP/Fabrice COFFRINI〔AFPBB News

 2017年のノーベル賞、6つの部門での受賞者が決定したところで、全体のアウトラインを見ておきたいと思います。

 今年のノーベル賞は非常に分かりやすいですね。

 ポイントは、昨年のノーベル賞の決定が10月、授与が12月、その間に11月があった、ということに尽きます。

 2016年11月、つまり悪い冗談のような米大統領選挙での共和党保護主義政権の成立、「ドナルド」大統領就任という、欧州としてはただ単に困った結果が出たことへの穏当な疑義が、文系側については3連発で発せられたと見ると、きれいに整理して見えるように思います。

2016年のノーベル文学賞から

 先にお断りしておきますが、今年の文学賞、カズオ・イシグロの仕事については、別途原稿を準備するつもりです。一音楽家として彼の作品と向き合う内容を記すつもりです。

 ここでは、あくまで、2017年のノーベル賞全景の中での彼の立ち居地などに触れるにとどめたいと思います。

 それに先立って2016年、つまり昨年のノーベル文学賞を考えてみましょう。

 ボブ・ディラン、本名ロバート・アレン・ジマーマン、ロシア系ユダヤ人のフォーク・シンガーがノーベル「文学」賞をスウェーデンから送られた背景には、公民権運動とベトナム反戦の1960年代、プロテストソングの貴公子と呼ばれた彼の活動を指摘しないわけには行かないでしょう。

 ご記憶かと思います、昨年のノーベル賞が決定した後、ボブ・ディランの言動は極端に挙動不審でした。

 彼自身、微妙に政治的な観点から自分に賞が与えられる側面を、誰より明確に自覚していたはずで、まる2週間ほど一切のコメントを出さず沈黙し続けました。