米国テキサス州のラックランド空軍基地で情報システムを点検している様子(出所:米空軍、 U.S. Air Force photo by 1st Lt. Robert J. Krause、資料写真)

 2017年夏、米空軍は自らの情報システムにサイバーアタックさせる賞金大会を開催した。この大会には世界中の名うてのトップクラスのハッカーが参加したが、勝利したのはなんと17歳の少年、ジャック・ケーブル氏だった。

 これは現代において戦争の形態が大きく変質していることを意味する。また、我が国の安全保障政策を検討するうえでも、真剣に目を向けるべき出来事である。今回はそれらのことを指摘したい。

空軍が自らをハッキングさせた懸賞金大会

 2016年、米国では国防総省主催の「Hack the Pentagon」、陸軍主催の「Hack the Army」という2つの賞金付きのハッキング大会が開催され、大成功を収めた。それを受けて今年、空軍が主催した大会が「Hack the Air Force」である。

 大会は5月30日から6月23日にかけて実施され、「Hack the Pentagon」の合計7.5万ドル(約847万円)を超える合計13万ドル(1470万円)もの懸賞金がかけられた。米国民のみならず、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドなどの米国同盟国市民にも参加資格が与えられた。

 この大会で優勝した若干17歳のジャック・ケーブル氏は、40もの脆弱性を発見し、空軍のウェブサイトから侵入に成功し、ウェブサイトの支配権とすべてのユーザーデータを手に入れたという。