衆議院解散、事実上の選挙戦に突入 10月22日投票

衆議院本会議で解散詔書が読み上げられ、お辞儀する安倍晋三首相(中央、2017年9月28日撮影)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA〔AFPBB News

 間もなく総選挙が始まるが、今度の選挙はどの政党も誤算続きに思えてならない。安倍晋三首相、小池百合子氏、前原誠司氏、志位和夫氏等々、それぞれが読み違い、誤算を重ねてきたのではないか。

最初は誤算から始まった解散総選挙だったが・・・

 安倍首相が解散の決意をしたのは、間違いなく、今やれば勝てると考えたからであろう。負ける確率が高いときに、自ら解散を仕掛けるはずがない。

 安倍首相は、今回の解散を「国難突破解散」だと述べた。確かに高まる北朝鮮の脅威や少子化の進展や非正規雇用の拡大は、国難ではある。だがこの問題を巡って、国民の間に深刻な対立があるわけではない。森友、加計問題で一時、支持率は急落したが、内閣改造以降、支持率は盛り返している。解散で信を問わなければならない状況ではない。

 そこで安倍首相が持ち出してきたのが、再来年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる際、5分の1は社会保障に、残りは借金返済に充てられることになっていたが、教育の無償化など子育て世代への投資にも使いたい。このことについて、国民の信を問いたいというのだ。前回の解散総選挙でも、消費税増税の延期について、国民に是か非か問いたいということを最大の理由にあげた。

 よくよく消費税を解散に利用する首相である。だがこんなものは選挙の争点にならない。現に前回選挙でも争点にならなかった。誰でも増税など嫌だからだ。今回もそうだ。子育て・教育に回すことに誰が反対するのか。民進党も同じ主張をしていた。反対するのは、財務省ぐらいのものだ。

 こんな理由は、後付けにすぎない。要は勝てるかどうかが、最大の判断基準なのである。民進党からは離党者が相次ぎ、小池氏の意を受けた若狭勝氏、細野豪志氏らの新党作りももたついている。このチャンスを逃すなというのが、解散決断の最大の理由であろう。