保健所が惣菜店の「衛生管理」を食中毒の原因としたことで、バイキング形式のビュッフェにも厳しい視線が向けられるようになってしまった(写真はイメージ)

「総菜量り売りトングが原因の見方も O157、3歳死亡」(朝日新聞、9月13日)
「O157感染 販売形態、総菜店任せ トング使い回しか」(毎日新聞、9月14日)
「皿やトング、消毒不十分か O157、前橋の総菜店」(日本経済新聞、9月14日)
「O157女児死亡 トングなど消毒不十分か 前橋市担当者「定め守られず」」
(東京新聞、9月15日)

 群馬県、埼玉県で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生し、3歳の女の子が死亡する痛ましい事態に発展した。

 記者会見に出席した前橋市の保健所長は「バイキングやサラダバーなど客が自主的に盛りつける際の管理が不十分な面が今回、見受けられる」と述べ、トングの使い回しなど何らかの原因で菌が付着し、二次汚染した可能性があると指摘した。

 この会見を受けてメディアは、まるでその店舗で使われていたトングからO157が発生したかのように一斉に報じた。

惣菜店はババを引かされた?

 しかし、「犯人」は本当にトングなのだろうか。

 今回のO157は同型の遺伝子の菌が全国12都県、100名以上に拡大した、厚労省の言い方を借りれば「広域発生」である。群馬や埼玉だけでなく、遠く富山県や滋賀県、香川県の感染者にも「同じ感染元」の菌が及んでいる。香川の感染者は感染の直前に県外に出ていなかったというから、何らかの食材を媒介にして広がったと考えるのが順当である。