安倍一強体制が崩壊し、自民党の内部が流動化してきた

 支持率の急落により盤石に見えた安倍一強体制が、もろくも崩壊した。これは安倍首相自身も認めているように、あまりにも傲慢な首相自身の態度が招いたものである。内閣改造では、このことも意識して、野田聖子氏や河野太郎氏など、必ずしも首相に近くはない政治家を閣僚に登用した。これによって支持率は多少上昇した。

 今回の出来事で重要なことは、「一強」体制などと言っても、結局は世論の動向次第だということを強く印象づけてしまったことである。再び安倍一強体制が復元することはないだろう。

一気に流動化してきた自民党の内部

 今年3月の党大会で、党則と総裁公選規程を改定し、総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長することとされた。現在2期目の安倍首相の3選を想定した改定であったことは間違いない。二階俊博幹事長が「安倍さんの後は安倍さん」と述べた通りである。

 だがこの時の思惑通りにことが進むのか、不透明になってきた。今後も支持率の低下は十二分にあり得る。そうなった場合、3選に黄信号がともることもあり得る。野田聖子総務相が次期総裁選への出馬を明言しているのも、そのあたり見越してのことだろう。そうなれば、岸田文雄政調会長や石破茂氏らも手を挙げるだろう。河野太郎氏も意欲を示している。無風状態から、一気に自民党内の流動化が進展しているということだ。

 これは決して悪いことではない。自民党内の活気を生み出すことになるからだ。