金利の考え方はあらゆる経済活動の基礎となる(写真はイメージ)

 このところ資産運用の世界で、大きなパラダイムシフトが起こりつつある。長年続いた低金利の時代が終わり、金利上昇が本格化するのではないかとの見方が台頭してきているのだ。

 もしこの転換が本物だった場合、個人の資産運用は抜本的な転換を迫られることになる。金利が上昇し、インフレが進む局面において、銀行預金に依存し過ぎることはリスク要因となる

 そこでこのコラムでは3回にわたって、新しい時代を迎えつつある個人の資産運用と金利の動向について論じていく。

 前回(「資産家がわざわざローンを組んで不動産を買う理由」)は「金利」の動向を知ることがいかに大切なのか、1980年代のバブル崩壊やリーマンンショックなどを引き合いに解説した。2回目の今回は、金利というものがなぜ存在しているのか、その本質的なメカニズムについて探ってみたい。

 なお、2月に上梓した『最強のお金運用術』(SBクリエイティブ)では金利についてさらに詳しく解説しているので、本記事とあわせて参照していただきたい。

金利とは「時間」を買うためのコストである

 前回、金利の動向に注意を払っておくことで、市場のピークやボトムをより確実に把握できるという話をした。例えば2003年や2010年は、株式投資や不動産投資における絶好の買い場だったが、金利の動向はいずれもこの状況をよく表していた。