恐怖と涙と祈りの日々、米カリフォルニア州の移民コミュニティー

カリフォルニア州はハイテクの聖地だけではない。農業も産業の大きな柱だ。それを支えているのが移民(写真)である〔AFPBB News

 大方の予想を覆す世界的な出来事が再び起こるかもしれない。

 過去1年だけでも英国のEU離脱(ブリグジット)、ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)の誕生があり、3番目の出来事としてカリフォルニア州の独立(キャルエグジット)が照準に入ってきている。

 「まさか現実には起きないだろう」と現段階では考えられている。だが先の2例は、多くの人が可能性の低さを指摘していたにもかかわらず現実化した。この先、何が起きるか分からない。

 3月下旬からトランプ政権を取材するため渡米した。その時、予想以上にカリフォルニア州の独立が熱く語られていることを知った。

独立支持派が急拡大中

 昨年11月にトランプが当選後、同州内に独立の動きが出ていた。ロイター/イプソスが2014年に同州の住民に行った世論調査では、独立支持派は20%に過ぎなかったが、最新の調査では32%にまで増えている。

 それを受けて、ワシントン・ポスト紙が3月23日、文化・流行面のトップで「トランプ時代のカリフォルニア」という長文記事を載せた。

 主旨はトランプが米国の大統領である限り、州民の中にはもはや米国と運命を共にする意思がない人たちがいるという内容である。端的に述べれば、カリフォルニア独立に関する記事である。

 しかもトンラプが2月初旬、「カリフォルニアはもうコントロール不可能だ」と州民の怒りをさらに煽る発言をしたことで、州民たちは愛想を尽かし始めているようにも見える。

 同州の経済規模はすでに世界6番目で、フランスのGDP(国内総生産)よりも上である。国家としての体裁を持っているのだ。

 2015年の経済成長率は米国全体が2.4%であるのに対し、同州は4.1%。さらに連邦政府が財政赤字に陥っているのに対し、財政は黒字である。

 同州だけで「まわしていける」自信があるのだ。過半数には達していないが、今後の運動次第では独立を勝ち取るだけの動きに発展しないとも限らない。