ベトナム・ハノイの夜景(資料写真)

 3月頭にベトナムを訪問してきた。今回は、その際に出会った2人のベトナム人との会話を紹介しよう。

民間会社の社員(ハノイ在住、40代女性)

「私はベトナム共産党員ですが、最近の共産党は嫌いです」

「共産党員なのに。共産党が嫌いなの?」

「父はベトナム戦争の兵士でした。戦闘で大けがをして後遺症が残りましたが、勇敢な兵士だったので、戦後、軍関連の機関に就職してよい待遇を受けることができました。私はその娘として大学に行くことができたし、共産党にも入党できました。この国の人口は9000万人ですが、共産党員は400万人。役所で出世するには共産党員であることが必須です。共産党員はエリート。ただ、私は民間企業で働いているので、恩恵はそれほど受けていません」

「ふーん。ではなぜ最近になって共産党が嫌いになったのですか?」

「汚職のこともありますが、第1には現在の幹部が中国にべったりだからです。そのことに対して、みんなが怒っています。中国は南シナ海の島を占領して、その周辺で漁民が漁をすることを妨害しています。だから、水産物が少なくなり値段が上がりました。これは、私たち台所を預かる女性が身近に感じている中国の脅威です。それに対して、現政府は中国になにも文句を言っていません」