米国・ロサンゼルスの街並み。講演に集まった日本人の聴衆は慰安婦問題の行方を懸念していた(資料写真)

 韓国・ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の存在が、日韓関係の改善を阻む大きな要因となっている。その慰安婦像の存在が米国在住の日本人たちにも実害を及ぼし、懸念の対象となっている実態を、現地で改めて痛感した。

 3月3日から4日にかけて米国・ロサンゼルスを訪れた。地元の日本人、日系米人の組織「日系と友人たち」に招かれ、講演するためである。

「日系と友人たち」はロサンゼルスの日本出身の長期居住者たちが主体となり、日本の政治や歴史を勉強しながら相互の友好を深める団体だ。2年ほど前に結成され、半世紀前よりハワイやカリフォルニアに在住する実業家の片山隆夫氏が代表を務めている。

今も続く像の撤去を求める戦い

「日系と友人たち」は慰安婦像設置に反対することを目的とする政治的な組織ではない。今回の私の講演も、慰安婦問題を直接的に論じる内容ではなかった。だが、米国での慰安婦像の設置に反対する人たちがこの組織に多いことはすぐに分かった。

 例えば「日系と友人たち」の活動を中核となって支えている経営コンサルタントの今森貞夫氏は、ロサンゼルス近郊のグレンデール市の慰安婦像設置の動きに反対してきた。