アマゾンジャパンは川崎市の物流拠点「アマゾン川崎FC(フルフィルメントセンター)」で、商品棚が自動で移動し出荷作業を効率化するシステム「アマゾンロボティクス」を国内で初めて導入した(2016年12月6日、写真:東洋経済/アフロ)

 ネット通販ビジネスが新たな局面を迎えている。国内のネット通販をリードしてきた楽天に元気がなくなる一方、アマゾンが相次いでサービスを拡充している。一方、量販店であるヨドバシカメラはアマゾンを超える短時間配送サービスに乗り出した。ネット通販がリアル店舗を凌駕するというのはネット黎明期によく聞かれた話だが、多くの人がまだ先のことだと考えていた。しかし小売ビジネスのリアルからネットへの本格的なシフトはすでに始まっている。

アマゾンは次々と新しいサービスを投入

 このところ楽天のネット通販事業が停滞しているという話があちこちから聞こえてくる。同社では2015年後半から楽天市場単体での業績開示をやめてしまったので、正確なところは分からないが、かつてのような2ケタ成長を実現できなくなったのは確かだ。

 こうした楽天の状況を尻目に、次々と新しいサービスを投入しているのがアマゾンである。アマゾンは注文から1時間以内に商品を届けるという新サービス「プライムナウ」を2015年11月からスタート。当初は東京都内の一部地域のみが対象だったが、1年後の2016年11月には範囲を23区全域に拡大。このほか神奈川県や千葉県、大阪府、兵庫県の一部地域で利用が可能となっている。

 プライムナウは、年会費3900円の有料会員(プライム会員)を対象に、アプリを通じて注文した商品を1時間以内に配送するというもの。1回あたり2500円以上の注文が条件で、890円の配送料がかかるが、2時間以内でよければ無料となる。1時間配送の場合、朝6時から深夜1時までの時間に対応しており、2時間便では、朝6時から深夜0時までの2時間枠を使うことができる。

 さらにアマゾンは2016年11月、自社で販売していないマーケットプレイスの商品についても「お急ぎ便」で受け取ることができる新しいサービスを開始した。