多くのアパート、マンションが立ち並ぶ中国・上海の街並み(資料写真)

「国慶節の連休だっていうのに、我が家は引っ越しなのよ!」

 上海の中心部に住む日本人駐在員のAさん一家。せっかく迎えた10月の行楽シーズンなのに、段ボール箱が積み上がる“新居”で落ち着かない連休となってしまった。

 なぜ、この時期に引っ越しなのか。

 一家がそれまで住んでいた賃貸マンションの契約期間はまだ満了していない。だが、Aさんは10月1日から始まる国慶節の連休の直前に、突然、家主から退去を命じる通知を受け取った。通知には「このマンションは売却が決まったので、すぐに出て行ってくれ」と書かれていた。

「借りていたマンションが、私たちの知らないところでいつの間にか大家によって売りに出されていたんです」とAさんは憤る。

 日本では不動産賃貸借の場合、契約を解除する際に借主は最低1カ月前、貸主は最低6カ月前までに書面で事前通告しなければならない。しかし、上海では家主の立場が圧倒的に強い。そのため、契約期間を強引に短縮されたり、途中で契約を打ち切られたりするなど、家主の身勝手な振る舞いに翻弄される住民は少なくない。

(参考・関連記事)「焚きつけているのは誰?上海で住宅バブル再燃の怪