山川和大選手/写真提供:兵庫ブルーサンダーズ

 今年10月20日に行われたドラフト会議で、独立リーグであるベースボールファーストリーグ(BFL)に所属する兵庫ブルーサンダーズから山川和大(やまかわともひろ)選手が読売ジャイアンツに育成ドラフト3位で指名された。

 私が山川選手にインタビューを行ったのにはわけがある。山川選手は、これまでプロ野球への登竜門だった高校野球・大学野球の枠組みとは全く違ったところから出てきた選手だからだ。

ついに「新システム」から羽ばたいた

 2013年に関西独立リーグが消滅した後、新たに作られ、2014年から始まった「ベースボールファーストリーグ」(関西を中心としたプロ野球独立リーグ)。

 この独立リーグの所属チームである「兵庫ブルーサンダーズ」は、代表の高下 沢が先導して、プロ野球選手育成プログラムを導入した。芦屋学園(兵庫県芦屋市)と提携し、中学から大学まで10年間プロの指導を受けて将来のプロ野球選手や野球指導者を育成しようとした。

 しかし学生がプロから直接指導を受けるのは禁じられているため、芦屋学園の野球部は高野連など既存の野球組織に加盟できない。したがってどんなに強くなっても甲子園に出られないのだ。

 そんな「教育システム」が始まって3年目となる今回、ついにプロの世界へと羽ばたいた第1号が山川和大選手である。

「野球より語学」で選んだ高校

 山川選手の神戸市北区藤原台という新興住宅地の出身である。小学生の頃から野球は好きで、将来プロ野球選手になりたいといった漫然とした夢はあったが、絶対になりたいと思っていたわけではない。

 そのため、中学卒業後、芦屋学園高校に入ったが、この進路は野球を優先して選んだわけではなかった。

「高校を選ぶ時、海外留学(語学留学)できる高校を優先したんです」

 これが芦屋学園高校を選んだ理由である。

 とはいえ、野球ができるに越したことはない。芦屋学園高校には軟式野球部はあったが、硬式野球部はなかった。硬式野球をやりたかった山川選手は、こう考えたという。