エアバス・ボーイングに挑戦、ロシア新型旅客機「MC21」初披露

航空機は油圧機器の塊と言っていい。写真はボーイングやエアバスの中心市場に殴り込みをかけるために開発されたロシアの新型中距離旅客機「MC21」。今年6月8日にお披露目された〔AFPBB News

 本来ここではIoTやAIの先端を扱っていく念頭ですが、今回はその足元で「テクノロジーの考古学」ということを考えてみましょう。

 技術開発から商品設計、ビジネス展開まで、様々な目的に間違いなく役立つ観点です。

 例えば皆さんは「油圧」という概念をご存じと思います。油~液体を使って圧力を変換することで、小さな力を用いて大きな作用を及ぼす仕かけです。

昔は「水圧」だった「油圧」

 実は「油圧」の歴史はそんなに古いものではないようなのです。戦艦上での大砲の操作に「油圧」が用いられるようになったのは20世紀初頭、つまりたかだか100年のことに過ぎないというのです。

 威力の大きな大砲を作るには、発射する砲弾を大きくしなければなりません。大きな砲弾を発射するには、当然ながら強力な火薬が必要であり、また強い火薬を使っても壊れたりしない砲身を作らねばならない。

 強力な砲身は当然ながら、しっかりした作りにしなければなりません。ということは必然的に重い、大きい、仕かけが大がかりになります。

 さて、大砲というのは面倒なことに、一度据えつければよいというシロモノではない。これも兵器ですから、敵が来る方向に向けて弾を発射しなければならないからです。

 中世の石造りのお城などを見に行くと、石造りの大砲の球が置いてあることがあります。それを発射した砲身も見ることがあります(が、鉄製なのでさびてダメになっていることも多く、石の弾ほど長持ちはしません)。

 この砲身、本当に筒だけなんですね。昔、大砲と書いて「おおづつ」と読む力士がいましたが、まさに巨大な「筒」に弾と火薬を詰めて発射する。それ自体は「リヤカー」のような台車に乗せてあって、それで移動したり向きを変えたりしていました。

 大砲は典型的にニュートン力学に従って作動しますから「作用・反作用の法則」をもろに被ります。つまり、強い力で弾が発射されると、その力積と同じだけの反動を発射台側も受けることになる。

 リヤカーのような道具に大砲を積むのは賢明な方法で、こうすれば発射の反作用を砲台がモロに受けることがありませんので長持ちします。

 ただ、発射に際して大砲が少し後ろ向けに動いたりもする。そういう古い映画を見たことがある方もおられるでしょう。