米警官狙撃 「爆弾ロボット」の使用は正当、ダラス警察

米テキサス州ダラスの市庁舎で行われた警官狙撃事件の犠牲者追悼イベントに出席するダラス警察のデービッド・ブラウン署長(中央、2016年7月11日撮影)〔AFPBB News

 これからの殺人犯はロボットによって殺害されるのか――。

 米テキサス州ダラスで7日に起きた警察官狙撃事件で、ダラス市警は殺人ロボットを投入して犯人を殺害した。陸軍の元予備役マイカ・ジョンソン(25)は、意図的に白人警察官の殺害を企てて犯行に及んでいた。

 なぜ市警はロボットを使って犯人を殺さなくてはいけなかったのか。米国ではいま殺人ロボットの使用について、倫理問題が浮上している。

 簡単に経緯を説明したい。

爆弾装着ロボットで犯人殺害

 現地時間7日夜、ダラス市内で白人警察官に対する抗議デモが行われていた。今月に入ってから、ルイジアナ州(5日)とミネソタ州(6日)で白人警察官による不条理とも思える黒人男性の射殺事件が起き、全米で抗議活動が行われていた。

 7日午後9時頃、ダラス市内でデモの警備にあたっていた警官が次々に銃弾に倒れた。5人が死亡し、7人が負傷している。当初、容疑者は複数いると報じられたが、結局単独犯による犯行だった。

 同夜ジョンソンは駐車場ビルに立てこもり、膠着状態に入った。8日未明、市警は爆弾を装着させたロボットを投入し、遠隔操作によって犯人を爆死させるのだ。

 デイビッド・ブラウン署長は8日の記者会見で、「犯人は限られた場所から狙撃していた。ロボットを使用する以外、選択肢はなかった。他の選択肢は警察官を死の恐怖に直面させる」とロボットの投入を正当化した。

 ジョンソンは黒人で、白人警察官に対する感情的な憤りがあったことは容易に察しがつく。もちろんジョンソンの犯罪は正当化できないが、5日と6日に起きた他州での射殺事件でも、警察当局の正当化は極めて難しい。