仏西部サンナゼールの造船所で撮影された世界最大の客船「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」の上部デッキ(2016年5月12日撮影)。(c)AFP/JEAN-SEBASTIEN EVRARD

 韓国最大最強の財閥と言えばもちろんサムスングループだ。「危機管理」と「準備経営」で好業績を維持してきたが、うまくいかない企業もある。造船大手のサムスン重工業だ。

 造船不況に海洋プラント事業の不振が加わり、巨額の赤字に陥った。銀行から再建案提出を求められる屈辱も味わっている。

 「産業銀行“サムスン重工業自救案では不足” グループが支援しろという意味?」

 2016年5月19日付の「朝鮮日報」はこんな大きな見出しの記事を掲載した。

サムスン重工業、「自救案」作成の屈辱

 サムスン重工業は5月17日夜、主取引銀行である国策銀行の韓国産業銀行(KDB)に「自救案」すなわち「経営再建策」を提出した。これに対して、KDBが「これでは十分ではない」という姿勢を示したという内容だ。

 サムスン電子などサムスングループの企業は業績が良く、「銀行がお金を借りてくれるように頼む」という関係で知られる。

 それが、取引銀行から「自救案」の作成を求められていた。これ事態が異例中の異例の出来事。「自救案」を出すということは、銀行の監督、支援を受けるということだからだ。

 韓国メディアによると、サムスングループの企業が「自救案」を作成する羽目になったのは、IMF(国際通貨基金)危機と呼ばれた通過経済危機の際に当時のサムスン自動車が経営難に陥って以来17年ぶりのことだという。

 サムスン重工業の業績はそれほど悪化しているのだ。造船業界の中でも堅実経営で知られたサムスン重工業だが、ここ数年急速に業績が悪化した。2015年には、1兆5019億ウォン(1円=10ウォン)もの営業赤字になった。赤字になったのは11年ぶりのことだった。

 サムスン重工業は3兆ウォンもの内部留保があり、すぐに経営がどうこうなると見る関係者はいない。