宗谷岬から樺太(サハリン)を望む。(出所:Wikimedia Commons

「パイプラインは日ロの架け橋となる可能性を秘めた重要な事業であると考えている」 

 ロシアとのエネルギー協力拡大をテコに日ロ関係の早期改善を願う自民党の議員たちが、3月末に来日した露ガスプロムバンクの最高幹部と会談した。上記発言は日本側の異例のもてなしに感激したロシア側からなされたものである。

 ガスプロムバンクは世界最大の天然ガス生産企業であるガスプロムの子会社であり、ロシア三大銀行の1つである。主な融資先はガス・化学・機械産業などのロシア製造業であり、日本では言えばかつての日本興業銀行のような産業金融の雄である。

日本の国内資源と言ってもよいサハリンの天然ガス

 ロシア側が述べた「パイプライン」とは、ロシアのサハリン州から日本へ天然ガスを供給するパイプラインのことである。

 北海道の稚内から南端まで最短43キロメートルのサハリン島、その約600キロメートルの海岸沿いの浅い海底下に膨大な量の天然ガスが眠っている。津軽・宋谷の2つの海峡を挟んでいるが、ほとんど地続きと言ってよく、東京からの直線距離は沖縄より近い。