運転手の股の間から覗く子ども、北京

中国では自動車事故が発生する確率が日本より非常に高い(資料写真)〔AFPBB News

 中国におけるビジネス上のリスクについて解説している。最後となる8回目は現地での操業に関わるオペレーション上のリスクおよび現地での人的リスクについて見てみたい。

急激な電力需要の拡大で広範囲の停電が発生

 世界経済フォーラムが毎年発表しているインフラの整備度ランキング(2015~16年)において、中国は世界140カ国中、総合51位、道路42位、鉄道16位、空港51位、港湾50位、電力53位、電話回線63位となっており、他の新興国と比べてもインフラの整備度は高い部類に入る。

 しかしながら、電力事情については留意が必要である。中国では近年の急激な経済発展に伴い、電力需要も急拡大している。一方、電力供給については新規発電所の建設等を加速させているが、そのスピードが需要に追いついていないのが実情である。特に2002年以降、電力需給が逼迫している。これまでも、2002~2003年、2004年、2007~2008年に、広範囲の停電が発生している。

 中国においては総発電量の約7割が石炭による火力発電であり、2割が水力発電となっている。徐々に原子力発電、風力発電等に移行させる政策となっているが、なかなか進んでいないのが実情である。

 また、電力消費の4分の3が工業用で、消費地としては東部沿岸部が中心となっている。一方、発電については、火力発電が石炭産地の山西省・内モンゴル自治区等が中心で、水力発電は湖北省・雲南省・四川省が中心となっている。つまり、消費地と発電地域が遠隔地となっており、このことも供給を不安定化させている。2008年1月に発生した停電は豪雪により石炭の運搬が遅延したことが最大の要因であった。