IS掃討やイラン対応を協議=同盟の修復確認-米サウジ首脳

サウジアラビアの首都リヤドでサルマン国王と会談するオバマ米大統領(左、2016年4月20日撮影)。(c)AFP/Jim Watson〔AFPBB News

「原油相場の下支えに向けて、OPECや非OPECの主要産油国は再び増産凍結で合意することを目指し、おそらく5月にロシアで会合を開くだろう」

 4月20日、イラクのニマ副石油大臣はブルームバーグの電話インタビューにこう述べた。

 また、サウジアラビア石油資源鉱物省の顧問を努めるムハンナ氏も4月21日にパリで開催された会議で、「6月2日のOPEC総会で増産凍結を協議する」と述べた。同席していたOPECのバドリ事務局長も「加盟国はこの先、増産凍結という考えに戻り、非OPEC産油国とさらなる協議を行うだろう」との見方を示した。

 このように増産凍結への期待を維持することで原油価格を上昇させようとする動きが相次いでいる。

 だが、市場の反応は醒めている(4月22日付ブルームバーグ)。その理由は、ドーハでの会合の顛末があまりにひどかったからである。

サウジの「理不尽な要求」で会合は決裂

「最後の最後に態度を変えた国がある」 ロシアのノヴァク・エネルギー大臣は、計12時間に及んだマラソン会合後、ロシアのテレビインタビューに対して「増産凍結決裂の原因となった国は、サウジアラビアと一連のペルシャ湾岸諸国だ」と不満を露わにした。

 4月17日、サウジアラビア、ロシアなど主要産油国18カ国が、カタールの首都ドーハで会合を開いた。この会合で原油の増産凍結に合意できなかったのは、サウジアラビアが頑なな姿勢を崩さなかったことが主要因であると言われている。

 イランは核問題に対する国際社会からの経済制裁が1月に解除された。制裁下で日量280万バレルに落ち込んだ原油生産量を制裁前の水準(同400万バレル)に戻す方針を堅持しており、その取り扱いをどうするかが議論の焦点だった(イランは会合には参加していない)。

 当初は、「1月の原油生産量を10月まで据え置く『紳士協定』で合意を演出する」というのが会合の筋書きだったようだ(4月19日付日本経済新聞)。しかしサウジアラビアが、出席していないイランにも増産凍結に合意させるという「理不尽な要求」(ノヴァク大臣)に固執したため、会議は決裂してしまった(4月18日付ロイター)。

 フィナンシャル・タイムズ(4月18日付)は、「ドーハ会合で決定的な役割を果たしたのはサウジアラビア国王の最愛の息子だった」と指摘している。同紙によれば「会議に参加したヌアイミ石油資源鉱物大臣には決定を下す権限はまったくなかった。会議に参加しなかったムハンマド副皇太子は会合当日の朝、代表団に電話をかけ帰国するよう命じた」という。