秋葉原で買い物をする中国人観光客(2015年6月)

 これまで、爆買いの歴史、中国の人たちが爆買いに走る背景、中国人独自の人間関係、爆買いする中国人への有効なアプローチ方法、訪日中国人に見られる変化などさまざまな視点から「爆買い」現象について紹介してきました。

 この連載を始めた2015年3月から、まもなく1年が経とうとしています。約1年前と現在(2016年2月)では、「爆買い」をめぐる状況は大きく異なっています。その変化の速さには驚くほどです。

 この連載を始める前から、すでに爆買いは始まっていましたが、特にこの1年にわたる爆買い現象は、日本や日本企業だけでなく中国にも大きな影響を及ぼしました。一方で、「この現象は一過的なものでは?」という心配の声も聞こえてきます。

 そこで、今回は「爆買いが日本と中国に与えた影響」について振り返りながら、今後も変わりゆく市場において、爆買いの恩恵を受け続けるための鍵とは何か、お話したいと思います。

日本への影響:中国人が中国人を呼ぶ「好循環」

経済効果

 これはもう言うまでもありません。たくさんの中国人が日本を訪れるようになったことの経済効果は、爆買いの対象となった商品に関わる企業の業績や、株価を大きく押し上げるほどであり、メディアで「訪日中国人による爆買い効果が貢献し・・・」という文言をみない日はないほどでした。

・新たな観光地・観光スポットの開拓

以前の記事で、漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)のアニメに登場する鎌倉の踏切に、中国人観光客が殺到しているという話を紹介ました。

 中国人が訪れるのは、いわゆるゴールデンルートと呼ばれるエリアだけではなく、日本人が予想もしなかったような場所にも広がっていきました。日本人からすれば、観光資源だとは思えないような場所であっても、中国人からみると魅力的なコンテンツがそこにはあったのです。

 そうした意味で、爆買いは、日本の観光地や、目玉となるスポットの新しい可能性を切り開くきっかけにもなったと言えるのではないでしょうか。

・日本に対するイメージアップ

 爆買いによって生まれた影響の中で、実は最も重要なのがこの「日本のイメージ」への影響です。政府間はどうあれ、庶民レベルでは特に爆買いが本格化してから日本に対する評価が飛躍的に高まりました。