原油急落、2015年は生産国で経済危機などの恐れも

シリア・ラムラン近郊の石油精製所(資料写真)。(c)AFP/FABIO BUCCIARELLI〔AFPBB News

 米WTI原油先物市場は、OPECが協調減産に合意するとの期待から上昇した先週の流れを継続し、1バレル=30ドル前後で推移している。

 きっかけは、2月11日にUAEのエネルギー相が「OPEC加盟国に減産協力の用意がある」と発言したことだった。これを受ける形で2月14日にナイジェリアの石油資源相は、「世界的な原油相場安について“どのように歯止めをかけるべきなのか決断すべき”とのコンセンサスがOPEC内部で形成されつつある」との認識を示した。

 2月16日にはカタールの首都ドーハで、サウジアラビアとロシアの石油相が、カタールやベネズエラという他のOPEC加盟国の石油相も交えて原油市場について協議した。また、ロシア国営石油会社ロスネフチのセチンCEOも、2月10日、原油価格を上昇させるために「主要産油国による日量100万バレルの協調減産」を提案した。

 同17日、テヘランでカタール、イラク、ベネズエラと協議を行ったイランの石油相がサウジアラビアとロシアが合意した原油の生産量維持案に支持を表明したことを市場が好感したため、原油価格は1バレル=31ドル台後半まで上昇した。しかし米国の原油在庫が86年ぶりの高水準となったことが判明すると、原油価格は同30ドル台に下落した。

イランは増産、ロシアも減産しない

 中東、ロシアでは協調減産の動きが活発化している。だが、筆者は協調減産の可能性は極めて低いと見ている。

 まず大きな理由は、イランの制裁解除後の増産ぶりが明らかになっていることだ。イランは2月15日、経済制裁解除後では初となる欧州向け原油を荷積みした。欧州向けには計400万バレルの輸出を計画している。イランの1月の原油生産量は、日量40万バレル増加の同286万バレルとなった。