中国、二人っ子推進で新生児年300万人増の見通し

中国・北京市内の病院で、ベッドに横たわる赤ちゃん〔AFPBB News

 日本以上の猛スピードで進み始めたアジアの少子高齢化。前々回は政府があの手この手で対策を打ちながらも一向に成果の見えないシンガポール、前回は日本との関わりが非常に深いタイのケースを取り上げた。

 今回は、お隣の国、韓国と中国の実情を見てみよう。アジアの中でも日本以上に少子高齢化が加速・大問題化しており、とりわけ韓国はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で2002年 (1.17人)から13年間、出生率最下位という汚名記録を更新中だ。

 昨年の合計特殊出生率は「1.21人」で、日本の1.43をはるかに下回り、前年よりは0.02人増加したものの、「国連人口基金(UNFPA)における世界人口現況報告書」によると、韓国の2010~2015年の推計年間平均出生率は1.3人で、世界で3番目に低かった。

 さらに、高齢化率は11.8%(2012年)で、日本の約24%に比べるとまだ低いが、高齢化社会(人口比率で65歳以上が7%以上)から高齢社会(同14%以上)へ移行する年数(倍化年数)スピードが異常に速い。

世界屈指の超高齢社会が目前

 2025年には20%、2037 年には30%、さらに2050年には約37%までに急上昇すると予測されており、日本を超える世界屈指の「超少子高齢社会」になることはほぼ確実だ。

 OECDによると、2050年までに韓国の65歳以上の高齢者人口は、15歳から64歳の人口を4分の3上回ると分析。さらには、高齢者の約半数が国民平均所得の半分以下で生活を強いられているというから、タイと同様、「貧困高齢者」の問題も深刻だ。

 仏教社会のタイと同じく、儒教社会の韓国でも、親の世話をするのが子供の務めとされる伝統が崩壊し、高齢者の自殺も同じく急増しているという。

 英オックスフォード大学のデビッド・コールマン教授が「韓国は世界で初めて、少子化で消滅する国となるだろう」と発表しただけでなく、韓国の国会立法調査処も2014年、少子化が改善しない場合「2750年に、韓国は消滅する」という見解を明らかにしている。

 こうした状況に韓国政府は「低出産高齢社会基本法」(2005年)を制定し、日本の少子化対策を参考に、低所得層への保育費補助、育休制度活性化、短時間勤務制度導入、保育所拡充などといった少子化対策を試みた。

 しかし、これと言った効果がなく、最近は独自に新手の政策も実施し始めた。