反発に身構えるシリア難民、パリ連続襲撃の影響は?

独ベルリンの仏大使館前で、パリ連続襲撃事件の犠牲者を悼み、ろうそくを灯すシリア難民(2015年11月15日撮影)。(c)AFP/TOBIAS SCHWARZ〔AFPBB News

 日本の難民受け入れ体制に対する国際的な批判が強まっています。先日の国連における安倍首相の記者会見でも、日本はなぜ難民をもっと受け入れないのかという質問がありました。この背景には、欧州や中東諸国が万単位で難民を受け入れているにもかかわらず、日本では年間10人程度しか受け入れていないことがあります。

 しかし、日本ではもっぱら難民を受け入れることのリスクが叫ばれ、難民受け入れに賛成する人は少数派です。フランスでの連続襲撃事件以後は皆無に等しいと言ってよいでしょう。しかし、難民受け入れは本当に日本のためにならないのでしょうか。

 筆者は、日本はもっと難民を受け入れるべきだと考えています。今回は、難民の受け入れこそが実は日本の自衛隊と外交力を飛躍的に強化する施策であり、巷間で言われているリスク論は間違っていることを指摘したいと思います。

難民受け入れは自衛隊を強化する

 日本の自衛隊の第1の問題は、人口減少社会にどう対応するかです。2015年は前年比27万人の人口が減りましたが、これは東京大空襲約2回分の死者に 匹敵する規模です。つまり、現在の日本は大規模な戦略爆撃を毎年受けているに等しいのです。しかも高齢化や要介護者の増加もハイスピードで進んでいます。