工場の労働条件でアップルに抗議、店舗前でデモ 香港の労働団体

香港にあるアップルストアの外で、新型「iPhone 6s」の発売日に合わせ、抗議活動を行う労働団体のメンバーら(2015年9月25日撮影、資料写真)。(c)AFP/Philippe Lopez〔AFPBB News

 労務リスクは、日本企業の海外進出において、極めて重要なリスクマネジメントの分野となる。

 海外での労務リスクは多岐にわたる上、管理において難しい点が多い。また、労務リスクに至る要因・事象が多いことに加え、リスクが顕在化した場合の影響も甚大である。

 そこで今回は海外での労務リスクと対策のポイントについて見ていく。先進国と新興国の労務リスクは異なる部分が多い。まずは先進国における労務リスクから説明しよう。

欧州における労務問題を生み出す「EU労働法」

 先進国での労務リスクとして最も留意が必要なのがEU諸国である。JETROが2015 年3月に発表した「2014年度 在欧州日系企業実態調査」によれば、欧州に進出した日本企業の多くが経営上の問題として労務問題を上位に挙げている。

 具体的には、経営上の問題の1位が労働コストの高さ(45.0%)、2位が人材の確保(42.6%)、6位が厳格な解雇法制(32.5%)、9位が社会保障負担の高さ(29.3%)、10位がビザ・労働許可(26.6%)となっており、上位10のリスクのうち、半分が労務問題に関連するものとなっている。