シベリアの森で遭難の4歳女児、子犬に守られ11日後に生還

マイナス40度以下になるシベリアの冬〔AFPBB News

 前々回、能登のワカメの話から「微笑栄養素」の話を始めました。「必須栄養素」といった食べ物の養分の話題から入りましたが、「微笑栄養素」の本来の成分は心の栄養です。

 むしろ「本題」である心の栄養が、実は「能登のワカメ」にはたくさん含まれていたのです。今回はそのお話をしましょう。

「盲導犬」からシベリアへ

 石黒貞彦さんとお知り合いになったのは、全くの偶然からでした。研究室グループのT君から、盲点のような指摘を受けたのです。

 「伊東先生はアウシュビッツとかアンネ・フランクとか、ヨーロッパの強制収容所関係の仕事をたくさんしていますが、先生にとっての原点は、お父様のシベリア抑留ですよね。シベリアからの生還者の方にインタビューとかされないんですか?」

 今年は戦後70年ということで、国内でも広島、長崎はもとより、ごく一般の都市を襲った空襲の証言など、有名無名を問わず体験者の声をうかがっていこう、という計画を立てています。

 また海外でも、ベルゲンベルゼン、アウシュビッツ、テレージエンシュタットなど、ナチスの強制収容所の生き残りの方々にインタビューできるスケジュールを調整していただいています。

 変な話ですが、かれこれ戦後70年です。こういう機会はもしかすると最後になってしまうかもしれない・・・と、今まで重かった口を開いてくださる方も増えてきたような気がします。

 私は、父親が学徒出陣からシベリア抑留、母親は九州大牟田の空襲で全身四度の炭化火傷という、戦争で心身ともボロボロにされた両親から生まれました。偶然の経緯ですが、こういう問題に対してどうしても第三者的ではいられず、折に触れてプロジェクトを立てるようにしています。

 そうした中で、「シベリアからの生還者の方にインタビューされないんですか?」というT君の指摘は、目から鱗が落ちるようなものでした。自分自身どこか見ずにすませてきた部分を言い当てられたような気がして、ハッとさせられてしまいました。

 そこで思い出したのが『盲導犬クイールの一生』の著者、石黒謙吾さんでした。伯父さんがシベリア抑留の帰還者であると、以前からお聞きしていたのです。