中国の習主席、日本に友好姿勢示す 歴史認識はけん制

北京の人民大会堂で開かれた日中交流行事で手を取り合う中国の習近平国家主席(右)と二階俊博自民党総務会長(2015年5月23日)〔AFPBB News

改善し始めた日中関係

 昨(2014)年11月、北京でのAPEC(アジア太平洋経済協力)期間中に行われた日中首脳会談では、安倍晋三総理を迎えた習近平国家主席が顔をそむけたシーンが全世界で有名になった。

 あれから7か月が経過した。この間に日中関係は確実に改善方向に向かっている。その主な要因は中国側の歩み寄りである。

 日本側は一貫して中国側との対話を求めてきたが、昨(2014)年11月までは中国が頑なに拒絶していた。しかし、首脳会談実現後、その姿勢に明らかな変化が見られ始めた。

 昨(2014)年12月には日中省エネ・環境フォーラムが2年半ぶりに、今年3月には日中安保対話が4年ぶりに実現した。

 4月22日にはジャカルタで開催されたバンドン会議60周年記念式典に際して、2回目の日中首脳会談が行われた。この会談の実施には中国側の方がむしろ積極的だったと言われており、習近平国家主席も笑顔で応対した。

 4月末には日中韓環境大臣会合、5月5日に自民党の高村正彦副総裁を団長とする超党派の日中友好議員連盟と中国共産党序列3位の張徳江全人代委員長との会談、5月23日に自民党の二階俊博総務会長を団長とする日本の観光業界を中心とする3000人訪中団と習近平国家主席との会見など重要な交流が目白押しとなった。

 特に二階訪中団と習近平国家主席との会見は、翌日の中国国営放送CCTVの夜8時からのニュース番組においてトップニュースで報じられた。

 しかも、そのニュースは約10分に及ぶ習近平国家主席の歓迎スピーチのすべてに加え、二階総務会長および参加した日本企業メンバーのコメントまで報じるなど、全体で15分近い異例の力の入った報道だった。

 筆者はその日、たまたま上海滞在中でそのニュースを見ていたが、一緒にいた中国国有企業の幹部は、日中間の友好的な交流に関するこれほど長時間のニュース報道はここ数年見た記憶がないと驚いていた。

 さらに6月6日には北京で麻生太郎財務大臣と楼継偉財政部長(日本の財務大臣に相当)との間で日中財務対話が実現するなど、日中関係は明らかに改善に向かっている。