日米が防衛協力体制を見直し、新指針発表 「歴史的変革」

米ニューヨークのウォルドーフアストリアホテルで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に臨む岸田文雄外相(左)、中谷元防衛相(左から2人目)、ジョン・ケリー米国務長官(右から3人目、2015年4月27日)〔AFPBB News

 安倍晋三内閣が今国会で最重要課題に掲げる安全保障関連法案が5月26日の衆議院本会議で審議入りし、国会論戦が始まった。集団的自衛権の限定的な行使容認などを決めた昨(2014)年7月の閣議決定を具体化するものだ。実現すれば、戦後の我が国の安全保障政策の大きな転換点になる。

 冷戦終結から四半世紀が経過し遅きに失した感はあるが、ようやく長年の安全保障上の懸案を解消する見通しとなった。

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化に合わせ、抑止力を高めるための安全保障体制の改革は日本の将来にとって極めて重要だ。

 国会論戦を通して国益を見据えた現実的で大局的な視点からの法整備と国民からの強い支持を得るために政治のリーダーシップが、いま問われている。

戦後の安全保障政策における政治の不作為

 集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある国が攻撃された場合、それが自国の存立にかかわる明白な危険がある事態であれば、自国に対する武力行使とみなし、自国が直接攻撃されていなくとも反撃する権利のことをいう。

 国連憲章の第51条は、加盟国に対し武力攻撃が発生した場合には、「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を行使することが認められているとしている。そしてサンフランシスコ講和条約、旧日米安全保障条約、日ソ共同宣言、現行の日米安全保障条約にも日本が集団的自衛権を保有することが明記されている。

 ところが日本政府は、我が国は「国際法上いわゆる集団的自衛権を有しているとしても、国権の発動としてこれを行使することは、憲法上の容認する自衛の措置の限界をこえるものであって許されない」(参議院決算委員会提出資料、1972年10月14日)とする内閣法制局による解釈をとっている。

 憲法9条に照らして自衛権の行使は我が国を防衛するため「必要最小限の範囲」にとどめるべきであるが、集団的自衛権はこの範囲を超えるため認められない、と説明される。

 しかし個別的自衛権は「必要最小限の範囲」内で行使可能だが、集団的自衛権はその範囲内では行使不可能だとする見解は、法的には説得力を欠き、安全保障の常識に照らしても適切な認識ではない。