咸宜園(ウィキペディアより)

 私たちは、何かを「原因」と考えると、その先で思考を停止してしまいます。それを逆からとらえると、思考が停止せず上手い解決が見つかることがあります。

 いまから10年ほどまえ、経済誌に連載を始めた当初、世の中で「常識」と思って思考停止している、その先の源流を探訪しましょう、と提案してくださったのは、ほかならぬJBpressを創業した川嶋諭さん(当時は日経ビジネスオンライン編集長)その人でありました。

 戦略的にモノを考えるときに、ひとまず前提を整理しないと作戦が立てられません。しかし、仮にそれで手詰まりになったり、袋小路に行き当たったりしたら、大前提からから考えなおすのが定石と言うものでしょう。

 時代の先を読むうえでは、そういう思考がしばしば有用と思うのです。

歴史のパターンを振り返る

 例えば私たちは「戦国時代」は「戦国時代」だと思って、それ以上の「源流」を普通は問いません。信長や秀吉が活躍した、下克上の世の中だった、ともかく戦乱があった、やがてそれが収まった・・・事実は事実じゃないか、と言われてしまえばそれまでかもしれません。

 しかしここで世界に目を向ければ、日本の戦国時代は欧州の宗教改革・農民戦争とぴたりと重なり合います。インドではムガール帝国が成立、オスマントルコは東ローマを殲滅し、中国では明から清朝に政権が交代する・・・。

 すべて1400年代後半から1600年代前半にかけての出来事で、互いに様々な関係をもって乱世の歴史が進んでいます。

 背景として、例えば「火器」の発明を挙げる人がいるでしょう。ピストルに始まり、火縄銃・鉄砲の普及が全世界で動乱を加速した。間違いない背景の1つと思います。

 また「地球温暖化」が議論されるようになってから、乱世の背景に気候変動を挙げる研究者も増えました。端的に言えば気温が上がった。