「中国の人工島建設、南シナ海の環境破壊」フィリピン政府

米シンクタンク、戦略国際問題研究所が運営するオンラインサイトに掲載された南沙諸島のミスチーフ礁を捉えた衛星画像。中国の船がしゅんせつ作業中と見られる(2015年3月16日撮影)。(c)AFP/CSIS Asia Maritime Transparency Initiative/DigitalGlobe〔AFPBB News

 2013年9月から10月初めにかけ、習近平主席が外遊先で提唱した陸の「シルクロード経済ベルト」と海の「21世紀海上シルクロード」構想は、2014年10月のAPEC非公式首脳会議で改めて「一帯一路」という中国の世界戦略として内外に喧伝されるところとなった。この戦略こそ、中国がユーラシア大陸の盟主になるために構想されたものであると言っても過言ではない。

 それを実現させるためには、中国の経済成長が持続的なものでなければならないし、中国の強大化が周辺諸国を恐れさせるものであってもいけない。経済、外交を中心に、巧妙に作り上げる必要がある。よって神経を遣うべきなのは、いかに平和的にこの戦略を推進し得るかであって、その意味で中国は、胡錦濤政権時代末期に議論された「平和的台頭」論に回帰する可能性も排除できないだろう。

「一帯一路」は周辺諸国との「共同発展」のため

 現時点で振り返ってみれば、2013年秋頃から明らかにその後の「一帯一路」構想を意識した事例が出てきていた。例えば習近平主席が「2つのシルクロード」を提唱した直後の同年10月下旬には、「周辺外交工作座談会」が開かれ、「会議」ではなく「座談会」とは言いながらも政治局常務委員全員が出席するという高いレベルのものであった。

 習近平主席はこの座談会で、周辺外交の推進について、共産党創設100周年の2021年、中国建国100周年の2049年という「2つの100年」の奮闘目標を実現し、中華民族の偉大な復興という中国夢を実現するために必要であると位置づけ、さらに周辺外交を推進することを通じて、「わが国の発展にために良好な周辺環境を勝ち取り、わが国の発展がさらに多く周辺諸国に恩恵を施し、共同発展を実現する」と述べた。